COVID-19(新型コロナウイルス感染症)により全国に緊急事態宣言が出されました。
子供たちもいつから学校に通えるようになるのか、先の見えない毎日を送っています。

障害を持った子供たちの親も、仕事を休まざるを得ない事態となって、子供の障害と丸一日向き合っているという人も多いと思います。

障害を持った子供たちは、家から学校、放課後等デイサービスなどで過ごすという毎日のルーティンが、精神の安定につながっていたということもあるでしょう。

感染を恐れて外出を自粛していても、子供達には今の状況を理解するのは難しいかもしれません。

子供達は、これまでのルーティンを崩され、親たちは長い時間を子供と対峙しなければならなくなっているはずです。
そのことで、日を追うごとに親子で疲弊してしまうことは当然です。

けれど、それを何とか乗り越えていかなければならない今の状況に、どうすれば疲弊を少しでも避けて暮らしていけるのでしょう。

疲弊した毎日に、いつかは慣れるなんてことはないのです

放課後支援がなぜできたのか・・・。

放課後に何の支援もなかった時代、子供は学校からまっすぐ帰ってそのまま親子で過ごし、春夏冬の長期休みは毎日、親子で丸一日離れることもなく日々暮らしていました。

家庭の経済状況にも関係なく、片方の親は子供を見るために働くこともできない、特にその役目は母親にありました。

子供が学校に入学して、高等部を卒業するまでの12年もの間、学校が終わって子供たちが帰る時間は、幼稚園バスの送迎時間よりも早く、昼過ぎ早々に子供たちが帰宅したら、親は子供たちとそのまま過ごしていました。

長期休みに入れば、丸一日を親子で過ごし、それが夏休みとなると40日ほどの長い期間、ずっと子供とその障害と親は向き合って過ごします。

親だから当たり前だと言われる時代でしたが、長期の休みは調子を崩してしまう子供はとても多かったのです。

そのこととずっと、何年も親子で向き合っていなければなりませんでした。

我が家なら日に5~6回の家からの飛び出し、他害、破壊、自傷も増えるのが長期休みの頃です。

先生から、少しでも家での活動を入れるようにと、大好きなブランコを提案されていましたが、毎日最低でも2時間、だいたい5~6時間は炎天下に付き合わされて、親子で真っ黒になっていました。

台風の時も家から飛び出していなくなって、やっと見つけたらブランコをこいでいたし、急に家を飛び出してあっという間にいなくなり、警察に保護される回数が増えるのもこの時期でした。

2秒目を離すといなくなるので、全く目を離さないことを丸一日続け、それを夏休みなら約40日。
疲弊しないはずがありません。

当然働けず、私はやりたかった仕事も資格を取ることも諦めました。

でも、当時はこんな親が多かったのです。
このことを解決したくて、声を出し、訴え続けてできたのが放課後支援です。
これがやっとできた時は、サービスとしては息子には全く関係ないものになっていました。

けれど、こうしてたくさんの親たちの声でできた放課後支援で、子供たちが支援を受けながら放課後のルーティンを作り、親たちは働けるようになったことを、声を出して結局使えなかった親たちも喜んでいました。

なかなか先に進まない福祉の1つの事案が進むことは、親としてとても嬉しいことなのです。

しかし今は、放課後支援がなかった頃と似たような事態になっています。
きっと、どの家も毎日親子で頑張っていることでしょう。でも、そのことで疲弊してしまっている親子も多いはずです。

放課後支援がなかった時代、これを何年も何年もやってきて、毎年毎回のことだから慣れるだろう、なんてことはありえませんでした。

疲弊した毎日に、いつかは慣れるなんてことはないのです。

だから、頼れる場所は頼りましょう。
今、それすら悪いことと思っていたら、それは間違いです。
ことによっては家庭が崩壊してしまってはおしまいです。
今、虐待や家庭内不和の話も聞かれ始めました。

それを避けるためにも、福祉を現場で頑張っている人たちが踏ん張ってくれています。

福祉現場は頑張っている。利用することは悪くない

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)が感染してしまうということは必ず頭に入れておかなければなりません。

でも、人にうつさないためのマナーや姿勢を持っていれば、福祉は疲弊した家族を見捨てることをしません。

実際、福祉の現場はすごく頑張っています。感染対策をとりながら、子供達を預かったり、外出の支援をしています。

それは本来、福祉には家族を支援するという本質があるため、この状況下でもサービスを止めることなく続けているのです。

外出を支援する場合も、人との接触を避ける工夫をして、ウイルス対策と安全を確保するために保護者とも連携を取ってくれます。

もちろん感染者を出してしまったら、福祉事業所は閉鎖に追い込まれることもあります。
実際、老人施設などでよく聞きます。
だから、親としても子供の体調管理や感染対策を怠らない姿勢を持つことは絶対です。

それを知っておいた上で、疲れる前に福祉は利用しましょう。
こんな時にお願いするのは申し訳ない、という声もありますが、お互いに思いやり、感染に気をつけながら協力することで、福祉はしっかり使えます。

意外と、障害者福祉施設や放課後等デイサービスで、感染者が出て閉鎖されたという話はそんなに多くはありません。
それだけ、感染に対してしっかりと対策をとっていることがわかります。

こんな時期ですが、福祉のサービスを利用することは悪くありません。
頑張れる間は頑張って、辛くなったり、休憩が欲しい時は、相談してみることは大事です。

親として疲弊する前に、放課後等デイサービスや移動支援、短期入所など利用相談して、自分も体や精神的な休憩を取ってください。


ぜひ、相談を!

親である自分を追い込まない。子供も頑張っているからそれで十分

こんな時期だからこそ、親として「こうでなければならない」「しっかりやらなければならない」と、自分を追い込むことは、疲弊してしまうだけではなく、子供や家庭を崩壊させてしまうことだってあります。

勉強させなければならない、1日のスケジュールをきちんとこなさなければならないなど、親として自分に負荷をかけた状態では、自分自身が壊れてしまいます。

トイレの失敗が増えても、こんな時期だから仕方がないのです。
できていたことができなくなってしまっていても、今は仕方がないのです。
スケジュールがうまくいかなくても、それはしょうがないのです。

失敗が増えたように見えても、それは本当は、子供自身が頑張っている証拠です。
言葉で言えなくても、本当は頑張っているから、失敗やできなくなったこととして表に見えてしまうだけなんです。

頑張っていることに怒らないでください。
一緒だね、お母さんも頑張ってるよ、同じだね…….と言ってあげて欲しいと思います。
そして、頑張っている自分もねぎらって欲しい。

親子で疲弊してしまう前に、福祉のサービスを利用しましょう。
家族だけで抱え込まずに、困ったら声をあげてください。

この状況は、必ず終わりがきます。
それまで、なんとか乗り切っていきましょう。

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