令和2年11月29日に、長澤司法書士と五十川行政書士を講師にお迎えし、第3回目のオンラインイベントを開催しました。

今回もイベントで得た学びはたくさんありました。もちろん、皆さんの疑問も解決の糸口を見つけるきっかけにもなったと思います。

そこで、今回の内容から学んだたくさんの項目の中から、報告として以下の二つのことをあげたいと思います。
このことは、参加者の中からあった質問の多くに関わってくることで、親が元気で早いうちに知っておくことが重要だからです。

さて、その内容とは・・・・・・

①エンディングノートを書いておこう!
残し方のポイントを押さえておこう!

②遺言は必ず書いておこう!
手始めに書けて、尚且ついざという時のお守りになる「とりあえず遺言」も知っておこう!

今回のご報告は、そこを中心にまとめてみたいと思います。

 💗エンディングノートを書いておこう!💗


エンディングノートと言ったら終活!そのイメージは?

今回の講師をしてくださった、行政書士で終活をテーマにしたラジオ番組にも出演中の五十川さんによると、この質問を投げかけると、ほとんどの人が「暗いイメージ」と答えるのだそう。
五十川さんは「実は、そのイメージは全く間違ってるんですよ!」と言い切っていました。

終活は『家族に迷惑負担をかけないためにやる』『自分で最後を決めたい』『葬儀などの希望を家族に伝える』と答える人がほとんどのようです。
でも、この想いが強すぎて1人で抱え込んで、誰にも相談できなくなってしまった・・・なんてこともよく起きてしまうので、注意が必要とのこと。

家族に迷惑をかけないため・・・実はそうではないんです!

故人のご家族からの声からその理由がわかります。その声を拾い集めると
もっと一緒にいればよかった』『愛していると伝えればよかった』『故人に寄り添い不安を聞いてあげればよかった
というような、故人に対する後悔の想いが実に多いのだそうです。

そこからもわかるように、本当の終活は迷惑をかけたくないという想いよりも、家族や大切な人とより良く一緒に過ごすこと、そして手を差し伸べてもらう活動であることが理解できます。

そうすることで、一緒にいる時間や想いを伝える時間、多くを語り合う時間を共有できる上に、家族が後悔をしなくて済むということです。

そもそも、なぜ終活が必要なの?

人間は永久に元気なわけではありません。「認知症」「寝たきり」「介護」「突発的な事故」「余命宣告」など、これらの現実を突きつけられる事態になるかもしれません。

そんな予期せぬことも考えながら、その時にいかに家族から上手に力を借りるか、そして自分と家族が後悔しなくて済むか、「今」元気で判断力のあるうちにやっておくことが重要となります。

終活をすることによって、自分の気持ちの整理ができて、周りから上手に力を借りる方法も決められるという、大きなメリットがあります。
つまり、この先の人生をよりよく生きていくための準備が進められる・・・ということなのです。

これからの人生は、人との関わりの中で死ぬまでどう生き抜くか。
それができるのが終活です。

終活っていつから始める?何から始めるの?

終活をする予定は?と聞くと「時期が来たら始めたい」という人がほとんど。
では、その「時期」とはいつ?と聞くと「60歳になったら」60代の人は「70歳になったら」70代になったら「80歳になったら」・・・と、どんどん後回しにされていきます。

そして「どこに相談したらいいのかわからない」「どこから手をつけたらいいのかわからない」という「わからない尽くし」から面倒になってしまったり「今、元気だから、もっと先のことだよね」という確証もないことを自分に言い聞かせて、その後回し現象は起きてしまいます。

五十川さんは笑顔で「これからの人生は、人との関わりの中で死ぬまでどう生き抜くかだから、なんでも1人で解決しようとしないでください」と語られました。

「ご家族や大事な人たち、そして自分たちのような専門家など、たくさんのつながりを持つことが、より良い終活につながります」

その言葉に、なるほど終活は決して暗い活動ではなく、明るい未来のための活動だったんだと理解できました!

さらに五十川さんは「どんな些細なことでも、私たち専門家も頼ってくださいね!」と笑顔で続けられました。

心強いですね!
hand to handも、そんな存在でいたいと思います!

エンディングノートって?作る意味ってあるの?

エンディングノートとは、自分のこれからの人生をどう生きるかを考えるためのノートで、終活の第一歩と言われています。
ノートは行政からも出ていますし、本屋でも売っています。

その中身は『生きた証』『自分の考えを伝える』『自分自身の備忘録』のためのオリジナルノートです。

エンデイングノートを作る意味は、身辺整理、介護や終末医療、葬儀など、自分の希望を伝えることができるだけではなく、相続の意思を伝えたり、財産などを大事な人たちが把握できる、次世代への贈り物であるということです。

エンディングノートに法的効力はありませんが、何度書き直しても良いし、自分の想いを伝えることができます。

エンディングノートを作るときの注意点は?

ノートには個人情報が含まれるので、保管場所や方法には気をつけなければなりません。

また、法的効力はありませんが、その内容によっては遺産分割協議の紛争の種になることがあるので、遺産についてはエンディングノートに書き残さず、法的効力を持った遺言書に残して、エンディングノートは財産目録として作成すことがオススメです。

ありがちなのが、葬儀の希望を書いていても、実際に葬儀を執り行う家族などの状況があるので、家族との意見に相違が生じることがあります。
より良い終活をするためにも、家族とよく話し合い、考えを擦り合わせることが大事です。

実は、周りに伝えるタイミングを考えなければならないこともあります。
伝えるタイミングには「今」「なくなる前」「死後に伝えること」の3つが考えられます。
ですから、一様に保管すればよいというわけではなく、分冊して保管することをお勧めします。

エンディングノートを書いても、法的効力はありませんよね?

ありません。法的効力があるのは遺言書です。
けれど、エンディングノートも遺言書も、弁護士や司法書士、行政書士といった専門家が預かっておくことができます。
専門家がずっと寄り添っていくことができるので、何かわからないことがあってもすぐ対応できます。

終活は何からすればいい?という質問が多いのですが、取っ掛かりにエンディングノートを書いて、そして遺言を書くといいと思います。
できれば、エンディングノートと遺言は、両方残すと残された家族は助かることが多いのです。

💗遺言は必ず書いておこう!💗
手始めに書けて、尚且ついざという時のお守りになる「とりあえず遺言」も知っておこう!

長澤さんに相談に来られた方で、60歳という若さで急遽された方がいらっしゃり、その後のことがかなり複雑で大変なことになったという事例があったそうです。
この時、遺言があったら助けられたのに・・・と思ったとか。

財産争いが起きると本当に大変です。最後にはお金の問題ではなく、気持ちの問題になって、争いが激化することも少なくないようです。
「そんなことを避けるためには、早めに遺言書を書いておいて欲しい」
長澤さんの経験から、そんな提案をされました。

また、遺言があることで様々な調査をすることが省けて、専門家への費用も随分抑えることができるようになります。

もし遺言を書くことが、ハードルが高いと取りかかれないでいるのなら『とりあえず遺言』というものを書いておけばいいと思います。

とりあえず遺言って何ですか?

『とりあえず遺言』は短い文章の遺言書です。

一般的に言われる遺言書と同じように、自分に万が一のことがあった時に助けてくれる、法的効力も持ったものです。

その書き方は、遺言書と同じように法的効力を持つ正しい書き方をしなければなりません。

しかし『とりあえず遺言』はすぐ書けてしまうので、最初にこれを書いておいて、それから遺言書に着手してもいいでしょう。

『とりあえず遺言』も専門家に頼めば費用もかかります。費用目安はその専門家次第ですが、自分で本などで勉強して書くこともできます。
その場合は本代だけで済みますね。

遺言書を残せるのは家族だけ?

いいえ。
遺言書は親族以外に残すこともあります。
団体寄付やお世話になった人、一緒に暮らしているペットに・・・という相談もあるそうです。

遺言書作成を依頼することができるのは、弁護士 司法書士 行政書士です。
公証役場に行って、書き方を聞きながら作ることもできます。

最近増えてきた、遺言書とセットで依頼されることとは?

遺言書とセットで依頼されることが多い案件に、死後事務委任契約(亡くなった後の事務手続き)があるそうです。
例えば、電気やガスの解約、亡くなった当日の緊急時の対応、死亡診断書受け取りと死亡届の提出、葬儀や火葬の手続きなどです。
さらに、喪主をして欲しいという依頼も。

実は、こんなことも専門家に頼ることができるんですね。
このことを知っておけば、1人で抱え込まず「どうすることもできない」なんて悩まずに済みますね。

五十川さんプロデュース「エンディングノート」はタイミングに合わせた3冊セット

とっても綺麗な表紙の「新しゅうかつノート」
伝えるタイミングを考えて、3冊に別れています。

1「今すぐ伝えておくべきこと」
2「これから話し合って決めていくこと」
3「残される方へ伝えたいこと」

それぞれのタイミングで活用するもので、何から初めていいかわからない時は、1から書き始めてみるといいと思います。

※このノートを購入したい方は、下記にメールを送ってください。
五十川さんにお繋ぎし、購入情報をお伝えいたします。

スペシャルニーズアシスト協会(hand to hand)
メール  info@specialneedsassist.com

「親心の記録」は障害を持った我が子に愛情を残すもの

長澤さんが所属されている日本相続知財センターで作成された「親心の記録」は、 親が子供を見れなくなった時、他の誰かに引き継ぐ時に大変役にたちます。

子供の生活情報や行動について、また対処法など、その子の情報をすぐ確認できることで、多くの人が多くの場面で活用することができるノートです。

また、障害を持った子供を残して逝かなければならない親の、子供のために残すエンディングノートにもなります。

冊子になっているので見つけやすく、突然のトラブルや災害などで子供を誰かに託す時、このノートが大変重要な子供の情報になります。

当事者には無償で配布されているので、日本相続知財センターに問い合わせてみてください。

※問い合わせ先情報
https://yukari-tokyo.jp/about-us/parent/oyagokoro-no-kiroku/
または日本相続知財センター福岡支部 
福岡支部0120-33-2794
受付時間:平日9:00〜17:30

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💗講師紹介💗

■長澤 英之 司法書士
(所属)
福岡ひかり司法書士法人
日本相続知財センター福岡

「障がい児支援、親なき後問題を専門分野として、法律やお金の落とし穴にハマらないようにする対策について、各地でセミナー活動、相談会を行っています」

■五十川 恵 行政書士
(所属)
行政書士五十川恵事務所

「遺言、相続の相談を受けながら、終活について広く知っていただくため、終活ラジオ番組にパーソナリティーとして出演しています」

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💗あとがき💗

今回のオンラインイベントでもグループでのセッションがあり、エンディングノートや遺言以外にも、たくさんの質問が飛び交いました。
また事前に募ったアンケートなどもあり、それら一つ一つの質問に、講師であるお二方から丁寧に答えをいただきました。

今回も内容が多岐に渡り、大変情報量が多いので、報告は二つの内容に絞ってお伝えさせていただきました。

中にはエンディングノートに興味を持った人、書こうと決めた人もいましたが、親心の記録には子供のことを書いておき、エンディングノートには家族みんなに伝えたいことを書いておけば最強ですよね。

ご参加いただける方の中にはリピーターも多く、みなさん大変勉強をされていることがよくわかり、スタッフたちも大きな刺激を受けて、次回も頑張ろうというモチベーションもいただきました。

次回は、今回話題になった「とりあえず遺言」を、参加者全員で書くワークショップを開催します。
興味のある方は、ぜひ!