令和3年3月7日に、オンラインイベント『相談支援ってなに?』学齢期〜進路〜そしてその先のことを開催しました。

イベントが終わって、大変印象に残ったのは以下のふたつです。

相談支援についての知識が、まだ保護者の間でも理解されていない。

もっと相談支援の役目が理解されて、使い勝手を良くしていかなければならない。

これらが当事者側と支援者側の共通理解として、お互いの課題と認識されたことは大きかったと思います。

また、講師である田中相談支援専門員の解説により「初めて知った」「しっかり確認することができた」など、今回のイベントが今後の課題解決に意識を向けることのできた、意味のある回になったのではないかと感じています。

▼質問にも対応された資料が配布されました▼

当日は、講師の田中さんが用意してくださった資料に沿って説明が進められました。

本来2時間ほど必要な講義をたった1時間でお願いしたので、相当駆け足でお話いただくことになってしまいました。
伝わったかどうかを田中さん自身も気にしておられましたが、終了時のアンケートからは、ほとんどの人が理解できたとご回答いただきました。

さて、その資料を以下に貼っておりますのでご確認ください。
事前に皆様からいただいたアンケートにも、しっかり回答されたものになっています。

▼資料
https://www.thanksshare.jp/131109.html

内容について分らないことは、ぜひ皆様の担当の相談支援専門員に質問していただきたいと思います。
質問できる環境にない場合、ここにコメントを書き込んでください。

▼参加いただいた皆様の感想をざっくりと・・・▼

田中相談支援専門員の解説を聞くだけにとどまらず、ブレイクアウトセッションでは、ひとつのグループにひとり相談支援に携わる方達に入っていただき、当事者家族や支援者を交えて、ディスカッションを通して多くの思いが語られたようです。

終了時のアンケートには、参加していただいた感想とともに、ご自身の体験や思いも多く書いていただきました。

内容をそのまま公表することを皆様に許可を取っていませんので、似た内容をまとめて短い文章でお伝えします。

ご記入いただいたものは、今後の支援に生かされるように使われますが、個人特定はできないように取り扱いますので、ご安心ください。

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●相談支援専門員の方を探すのが大変。

●相談の対応の時、専門的な言い方ではない、わかりやすいフォローをしてほしい。

●内容が相談支援事業にとどまらず、就労施設、グループホームなど幅広く聞けた。

● 早くから、相談支援事業者と関わっておくことの大切さがわかった。

●精神障がい者はジョブトレーナーも少なく、理解や働くことでの社会的問題もあり、資源が足りていないと感じた。

●相談支援専門員は、少ない対面の中でも信頼関係を作り、支援計画を立て、あらゆる相談にも応じる気持ちで支援をされていると感じた。

●事業所側の事情で相談支援専門員が変わる経験をしたので、同じ相談支援専門員がずっと支援してくれるイメージがつかない。

●相談支援員と、定期的に連絡を取っていきたい。

●相談支援について意識したことがなかったので、はじめてわかったことが多かった。

●書類作成上に必要な存在ぐらいにしか思ってなかったが、今回でわかったことが多かった。

●真剣に取り組んでほしいと感じていた。相談しやすい人が担当になることも難しいのではないかと感じる。

●進路のことが分かりやすかった。

●行政区の垣根を越えて意見が聞けて良かった。

●相談支援専門員が、幅広く、長期に渡って関わるということを初めて知った。

●後見人と違って、相談支援専門員は変更できることを知った。

●合った相談支援専門員と出会うことが、とても重要なことだと思った。

●良い事業所を探す為には、こうして繋がることが大切だと思った。  

●自身や家族だけで支援内容を決めるのは難しいので、相談支援専門員は必要だと思った。

●今日の話を聞いて、担当の相談支援専門員が真摯に向き合ってくれていることが理解できた。

●どこまで相談してよいか分からなかったが、気になる事は全て相談してみよう!と思った。

●計画相談だけでなく、進路や就労などの基本相談もできることがわかった。

●色んな所との連携の重要性を感じた。

●相談支援専門員が足りないと感じている。

●交通公共機関を利用できるようになるための対応もされていると聞いて、内容の幅の広さに驚いた。

●頼れる存在があることは心強い。

●市役所など各所に問い合わせする時も、相談支援専門員に相談すれば具体的に伝えられると思った。

●相談支援専門員との関係を変えるきっかけにできそうだ。

●グループでセッションした時の相談支援専門員の話が、とても参考になった。

●今日の話を聞いて、モニタリング期間を短くしたいと思った。

●児童期の相談支援についてはあまり知らなかったので、勉強になった。

(抜粋まとめ)

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学校の先生からも、学校の壁が高いのかもしれないという気付きと、壁を低くしていきたいという嬉しいコメントもいただきました。

また田中相談支援専門員と、ファシリテーターの相談支援専門員の方々を労う言葉や、ひとつひとつ回答されたことに対しての感謝の言葉も書かれていて、hand to handスタッフも皆、大変嬉しく思いました。

これらは一部にすぎませんが、他にも多くの感想や皆様の思い、進行に関するご指摘などもご記入いただきました。

ご協力、ありがとうございました。

▼ファシリテーターとして参加された相談支援専門員の方々の感想▼

ファシリテーターを引き受けてくださった方は全員、実際に現場で相談支援をされている方たちです。
また、このイベントのために声掛けをさせて頂いたことに対し、快諾いただいた上に、担当の方だけではなく多くの方の声を聞きたいと、向上心と真摯な思いでご参加いただきました。

お互いに話をする中で、保護者の方たちの相談支援に対する知識が浸透していないこともありますが、お子さんの担当の対応に関する不満も多いことがわかりました。

先に書いたように今回のファシリテーターは、全員が多くの声を聞きたいと参加されるくらいなので、そもそも普段から利用者にしっかり向き合って仕事をされている方たちばかりです。

今回ここで詳しくは公開しませんが、今後の活動に生かしていただくために、ファシリテーターから集めたアンケートは、そのままファシリテーターの皆様にお渡ししています。

簡単にまとめると、保護者の声が生で聴けたことが大きかったという回答がほとんどで

■相談支援の認知度の低さをどう高めていくのか
■合った相談支援専門員を見つけられる仕組み作り
■本音が言えない保護者が気軽に相談できる体制作り
■質の低い相談支援員の存在に対してどう質を上げていくのか・・・
                 などなど、大変濃い内容でした。

アンケート中に課題として書かれていたこの内容だけでも、当事者家族としては今後の相談支援に対する期待が持てる気がします。

ブレイクアウトセッション時の内容も、全員がとても詳しく書いてくださり、貴重な資料となりました。
感想や思いについても、親ならグッとくるくらいに熱い言葉が書かれていて、このイベントの企画をして良かった!と心から思いました。

今回改めて確認できたのは、このhand to handの

『当事者と専門家たちの相互理解』という目的を大きく果たせている!

ということです。

私たちは、この目的をこれからも大事にしていきたいと考えています。

▼気軽に参加できるからこそのオンラインの課題について▼

今回のイベントでは、当事者や支援者、そして当事者家族をリアルな声で繋ぎたいという思いがありました。

最初考えて立てたタイムテーブルでは、田中相談支援専門員が1時間半ほど話していただく間に、参加者には質問や思いのコメントをチャットで記入して頂き、それについて全員でディスカッションするというものでした。

しかし、相談支援というものが理解できたとしても、それで終わってしまうのではないか。
その先がなければ、このイベントの意味は薄いものにならないか?

そこでタイムテーブルを大幅に見直し、参加いただく方にも相談支援専門員の生の声を届け、共に考えようという案でまとめました。

それから田中さん自身が動き、相談支援専門員に声かけをしてギリギリまで仕事の調整もお願いし、この形に出来上がりました。

それからグループセッションを行うことをSNSで発信し、イベント募集も前日ギリギリまで受け入れ、募集フォームを閉めた直後から、ブレイクアウトセッションでのグループ作りをはじめました。

なるべく収穫があるように、お子さんの学年や年齢、集約したアンケートに書かれた思い、学校の先生方の担当学年、支援者の施設、進路などもチェックしながら、かなり入念に考え、なんとかグループ分けも間に合わせることができました。

ただ、オンラインでの参加の気軽さを念頭に入れていなかったことは失敗でした。
事前に参加できなくなったと連絡をいただいた方の分は、直前であってもブレイクアウトセッションまでに調整をすることができましたが、そうでなかった方々もいらっしゃいました。

それでバタバタと対応をしていて、共同ホストを渡された私のパソコンが落ちてしまうというトラブルまで(泣)

休憩時間が魔の5分間でした(汗)
結局、メンバーはランダムに選ばれてしまった上、こちらのバタバタ劇で、結果大変ご迷惑をおかけしてしまうこととなりました。

本当に、この場をお借りしてお詫び申し上げます。

ただ、オンラインは気軽に参加できるということが一番のメリットでもあるので、hand to handでも入退室自由とうたっているわけですから、今回のグループ分けの失敗は、その点を考慮していればもう少しうまくできたと思います。
今後はこれを教訓に、対策も考えようと思います!

▼見えてきた傾向から私たちが伝えるべきこと▼

hand to handも勉強会を始めて、途中コロナの影響などもありましたが、お陰さまで11回を数えます。

そんな中、ご参加いただく方々の傾向として、後見制度や終活、施設問題などは、ある程度お子さんが大きくなられた保護者の方が多く、今回のように相談支援が進路に結び付くと考える人が多かったことで、学齢期のお子さんの保護者が多く参加されました。

これは筆者である私自身も経験があるのですが、目の前のことで解決していかなければならないことが多く、なかなか子供の先のことまで考えが及ばないことが多いのです。

それだけ保護者という立場になれば、子供さんのたった今の状態からも、考えること、やらなければならないことの多さに翻弄されているという現実があるからです。

そんな中に、例えばhand to handに参加しておくことで、将来に必要になってくることを頭に入れておくこと、年齢的に手遅れになってしまわないように、知識として持っておくことができれば・・・これはかなりの違いを生むのではないかと思われます。

また、現在の目の前のことで先に進めない、親の年齢から不安しかないというような声も多く、そんな方たちのために専門家とつながる方法もお伝えしていきたいと思います。

先日、小さな会場でリアルでの後見制度の勉強会が行われました。
その時に参加された保護者の方々は、まだ就学前、小学生などの障害を抱えたお子さんの保護者さんが多かったのですが、参加されたおかげで手遅れにならずに済んだと、勉強会終了後に早速動いた方がたくさんいらっしゃいました。

もうすぐ民法改正によって成人の年齢が18才に引き下げられます。
それまでに親権を使って「親心後見」をする方法、どこでそれが実現できるか、どう動けばいいかを学んだことにより、皆さんは行動に移されました。

こういう、なかなか自分たちでは情報を集めることが難しいことをお伝えすることで、お子さんの将来が少しでも良い方向にいくように、お手伝いできたらと思います。

今回の相談支援についても、参加された方達からは、65才問題もありつつ、実際には生涯にわたって使うものだということを、始めて知ったという方も多かったです。

そして、より良い相談支援を利用するために、相談支援専門員の仕事を理解することと、どう選べばいいかの問題も、深く考えるきっかけになったようです。

さらには、参加いただいた相談支援専門員の方々も、より良い支援について考え行動していくという、力強いコメントもたくさんいただいています。

次回のhand to handは・・・?

次回は、好評だったオンラインカフェを開催します。
新年度、新学期に突入ですので、ちょっと間をあけて、4月の終わりに企画しました。
人数に限りがありますので、お早めにお申し込みください。

開催日は4月25日(日)10:00〜12:00です。
入退室自由、お子さんを対応しながらOK!
グループ参加もOK!

詳細と募集はまた、このサイトやFacebook、DMなどでおしらせします。
お楽しみに。