一方通行ではなく、親達と専門家がお互いに積み重ねていく勉強会

記念すべき令和1年9月17日に、第1回目の「親亡き後を考える会」を発足、開催致しました。

この会は、親亡き後のグループホームや後見人制度のみに特化しない、様々な問題点を探して、親が生きているうちに子どものためにできることを考えていく勉強会です。

子どもに障がいがあって、さまざまな制度を使ったり、地域で生きていくためには難しい行政の制度を勉強する必要があります。ところが、それら制度については難し過ぎて、理解するのに苦労したり、考えなしに専門家から言われるがままの行動を起こして、失敗したりなどの声も聞くことがあります。

正直、必要を感じて講習会や勉強会には顔を出すものの、実際はその必要性が分かっていながら、何をどうしていいやら路頭に迷うことがほとんどなのです。

そんな迷宮から抜け出すために、きちんと行動すべきことを親が自ら考え、行動に移せるようになりたいと考えました。

また、専門家の方達にも親達の現状を知って頂くために、小グループの障がいを持った子どもの親達と、福祉、法律、生命保険のプロが集まり、ひざを付き合わせてディスカッション形式で、お互いに学びあう場所を作りました。

今回ご参加頂いた専門家は、障がい者相談支援員、行政書士、ファイナンシャルプランナー、またお母さんの中に司法書士の方がいらっしゃいました。

どなたも、心強いサポーターにもなって頂き、会の進行を見守り、親達の会話を大事にしながらアドバイスや鋭い指摘などを下さいました。親達も真剣に耳を傾けて考え、この勉強会の良い部分が大いに発揮されていたと思います。

この場所作りの実現にご尽力頂き、場所の提供から貴重な情報の公開まで、惜しみなく力をお貸し下さるファイナンシャルプランナーの藤野さん、この会がスムーズに運営できるように相談役を買って出て下さった、障がい者相談支援員の田中さんには、心よりお礼を申し上げます。

親達の中に引っ掛かるもの、それすら漠然としている

まず、何が心に引っ掛かるのかを議論してみました。その中での意見は、次の通りでした。

●子ども達の居場所作りをどうしたらよいか。

●暮らす拠点をどうすればいいのかを知りたい。

●後見人制度や信託など、難しくて分からない。また、まだそこまで考えたり手を付けるところまでいけていない。

●親亡き後を考えて、親が生きているうちに何ができるのか、子どもに何を残せるのか、その選択肢が知りたい。

●手続きなどの窓口が分散していて訳が分からない。そもそもどこに相談すればいいのかが分からない。一度に相談できる場所がほしい。

また、最大の疑問は「何が分からないのかが分からない」「何をどうしたらよいのかが分からない」というものでした。

何か引っ掛かるのだけれど、何が引っ掛かって、何から初めて、どう進めていったらいいのかが分からない……それは、自分達が子どもを残していなくなったとき、子ども達がどんな生活をするのかが、想像できないことにも起因します。

ただ分かっていることは、死ぬ間際になって、たくさんのことを解決することは絶対に不可能だということです。

財産管理についての知識は、早いうちに付けておいた方がよい

そこで、ファイナンシャルプランナーの藤野さんが、まずお金を子どものためにどう運用するのか、その選択肢にどんなものがあるのかを、ホワイトボードを使って分かりやすく説明して下さいました。

今回、後見人制度、銀行が管理する信託、生命保険で運用する信託、また市民後見人について、そのメリットとデメリットを、分かりやすく解説して頂きました。

それにより、まだ考えるのは先だと思っていた親達も、早くに知っておいた方が絶対にいい!ということに気付かされました。

後見人制度は法で守られるが、親族間なら確執や搾取の話しも聞く。真面目に親族がやっても、難しいことが多くて疲弊する。だから法律家がやることが多いが、裁判所が決めれば、守られるべき子どものことを知らない専門家や裁判官が物事を決めていくので、デメリットも多い。

信託は遺言書ではできないこともできる。運用のためのお金がかなり掛かるが、保険信託なら保険を運用することで銀行の信託のようにお金がなくても運用できる。特に親が運用できる財産がない場合、国内唯一の生命保険信託を子会社で持っているプルデンシャルは運用しやすい。最近は他の生命保険会社も生命保険信託を始めたところがあるので、自分の保険会社に聞いてみるとよい。

などなど、これらはほんの触りの話しで、実はもっと深いところまで突っ込んだお話を頂きました。

その上で、それぞれの仕組みとメリット、デメリットを知り、自分の子どもに合ったものを選んであげるのがベストだと教えて頂きました。

やはり、知らぬまま人頼みで行動を起こすと、失敗の可能性が大きいので、しっかり知った上で選択していくべきですね。

子どもが関わる病院や施設などで、後見人を付けるように勧められることがあるそうですが、後見人も一度契約したら一生やめられないので、慎重に考えて、どの選択が合うか考えた上で病院や施設に相談した方が良いようです。

後見人制度に福祉は入り込めないのか?

参加としては親側で来て頂いているのですが、司法書士をしていらっしゃるお母さんが、専門家であり、母親である立ち場から言われたことが、とても共感を持てました。

後見人制度は、多くは裁判所が司法書士や行政書士、弁護士を後見人に指名することが多いのですが、法律の専門家ではあっても、障がいの専門家ではないので、その部分の理解が大きく欠けてしまう。

だからこそ、守るべき子どもの側に立つためには、福祉の専門家がその中に入り込む必要性があるのではないか……。

これに専門家から「やはりそれは、相談支援がやるべきですね」という言葉が。後見人制度に、福祉が入り込めないのか……このような貴重な意見が出たことで、親達もこれまであまり考えても来なかった、後見人制度のこれからも、考えるきっかけとなりました。

親自身が動けるようになるために

今回、さまざまな選択肢を学びましたが、他にもまだあるそうです。次回解説しますね……ということだったので、とても楽しみです。

財産管理にしても、グループホームにしても、まず親が理解して、子どもに合わせた動きを模索しなければなりません。今後も、その方法と知恵をみんなで出し合えたらと思っています。

学んでいきながら、親自身が、わが子のために道筋を考えられるようになることが大事です。

さて、次回は更に行政書士さんがもう1人参加される予定です。引き続き、親がやるべきことの選択肢について、また様々な裏技まで聞けるとのこと……学びはどんどん広がっていきそうな予感です!

実は、この勉強会もファイナンシャルプランナーの藤野さんから声を掛けて頂いて実現した勉強会です。

さまざまな専門家と繫がることが難しい中に、こうして専門家から声を掛けて頂き、お互いに学びましょうと言って頂けたことに、強い思いがあればこのような出会いはある……しかも、役に立ちたいと思ってくれている専門家もたくさんいるのだと気付かされました。

このように、親達から学び、寄り添ってくれる専門家が後見人になってくれるのであれば、随分と後見人制度も使いやすくなりそうです。

また、親として行政に働きかけるという方法以外に、まだまだやらなければならないことはたくさんありそうです。

それゆえに、これからこの勉強会を、大事に育てていきたいと思います。

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この勉強会は、福岡市東区箱崎にて行なっています。

もしご興味のある方、参加してみたい方がいらっしゃれば、こちらのコメント欄、あるいは管理人までメッセージを下さい。

また、Facebookでも発信していますので「親亡き後を考える会」で検索頂ければ、情報をご覧頂くことができます。