本日、旦那が早朝から遅い時間まで撮影の仕事ということで、車にガンガン機材を積んで出掛けてしまいました。

ということで、息子が毎日通う障害者福祉の事業所に通所させる手段がなくなったので、敢えなく今日は母と息子で在宅です。

26年間、なかなかな濃い人生まっしぐらな彼に、相変らず目を離すことなど許されませんから、脱走癖と破壊行為(彼にとっては研究目的も含まれるのですが)を阻止すべく、今日も母はここに、彼の側に存在するのです。

朝食後はしばらく隣にならんで「ひゃっはっはっは」と笑いながら手足をばたつかせながら歌なんぞ歌っておりました。そんなんで喜んでくれる息子が、何とも可愛くてしょうがない母なのです。

他に何をしていたかというと、別にこれといって目的も説明もつけられない、ダラダラとした時間でした。

本人が先の見通せるように!

わかりやすい時間を作るように!

そんなアドバイスをされるような障がいを持っているはずの息子。

であるのに、このなにひとつ先の見通せない、なんの時間かすらわからないダラダラが、どうやらお好きらしい。その時間にわたし参戦でまったりな時間が過ぎていくのですが、自閉症であるはずの息子よ。いったいどういうことだい?

そうこうしているうちにお昼ご飯の時間はすぐにやって来ます。準備中は時々息子が隣に立って、もうすぐなくなってしまいそうな調味料のビンを見つけては「捨てていいか?」とテレパシーを送ってくるのです。中身をシンクにコンマ1秒で捨てようとするので、こっちはコンマ0秒で阻止しなければなりません。

ええ、まさに闘いなんです。

闘い済んでお昼を食べ、今度は片付け中に現場監督をする息子。ここ水滴ついてますよ、ちゃんと拭いて、容器入れはこの棚のこの位置にキッチリ置いて下さいな……と忙しい。しかもテキパキ! 感心感心。

こんなところは自閉症のテンプレートと申しますか、あ、やっぱりあなた自閉ちゃんだったのね、と確認できたりするわけです。

そして食後に息子、うとうと……。それを見ていて母もうとうと……うとうと……。

いかん、いかん。それではわたしの今日の存在意義がなくなるのです。で、何とかとどまりました。

息子は2時間過ぎても起きません。ちょっとわたしも焦ってきました。でも、これは珍しいことでもなく、父親と2人のときは結構あることだそうな。そういえば、よく言われることは「昼間寝てたら夜は眠れないから、昼夜逆転しないように寝かせないこと!」

息子はこれがあまり当てはまらないのです。どんだけ昼間寝ても夜は寝ます。数年前まではこの逆でした。昼間絶対に寝ないし夜も寝ない、つまり睡眠障害でした。なんとも極端なんですね。

そもそもテンプレなんてあると言えるのか?

睡眠時間はともかく、息子が時々起す問題行動に関しては、専門家からは自閉症そのものだと言われていますが、息子の普段の行動を見ると、一般的に「自閉症の子ってこんな感じ」って言われている行動から、けっこう離れた行動をすることの方が実は多かったりするんです。自閉症のテンプレに当てはまらないというか……。

そんなことを息子の寝顔を見ながらもじょもじょ考え始めました。

そういえば「子どもに言い方を工夫すれば効果的」と、言い換えの技術なるものを支援者は学ぶのだけれど……。

もじょもじょの考え中にそのことをふと思い出しました。

子ども達とかかわる時、道路を走り出して危険な場合にやる声掛け。「走っちゃダメ!」ではなく「歩こう!」と、こういうことですね。どうやら、ダメということばに引っ掛かるようです。また具体的な行動を示すということですね。

でもね、これ、効いてる気がしないんです。

わたしも職場のこどもたちで色々試した結果「止まれ!」が一番効いたんです。その後に「歩こうね」と、なぜ走らないのかの説明です。

本や授業なんかで教えてもらうこと、それはひとつの引き出しであって、あとは自分で引き出しを増やすしかないな、なんて思うのです。「この問題行動には、こう対応する」ではなくて「この問題行動には、こう対応する場合もある」だよな〜なんて……。

わたしの周りには「止まれ!」が効く子達が多かったってことなんでしょうね。

要は、引き出しをいくつ作れるか……これって、経験でしか得られないんじゃないかな。

この障害の特性はこうだ、こんな問題行動のときの対応はこうだ……と、テンプレを作ることは、相手を当てはめようとする危険すらあると思うのです。この人の特性はこうだ、この人の問題行動のときの対応はこうだ……でないといけないと思うのです。

とテンプレのおかげで、もじょもじょの考えが収拾つかずにあちらこちらに飛びまくってしまっていた間に、いよいよ息子の昼寝3時間に到達しようとしています。起こしても起きる気ゼロなので、仏壇からお菓子を拝借……で起きてくれました。この後は寝かせませんよ。そろそろ母も寂しいので。

さて、一緒に何してすごそうか? あぁ、またしても見通しもなにもない時間……。でも、とりあえずそれで息子が許してくれそうなので……。

まずはお茶でもいれましょうかね。