新型コロナウイルスの感染防止のために出された緊急事態宣言から、現在、福祉サービスを受けながら生活をしていた人たちがどんな生活をしているのか、周りからもよく聞かれるようになりました。
障害を持った人たちへの対応は、各都道府県や自治体、事業所などによって違うのではないかと思われます。
どこも同じ対応というわけではないのですが、ここでは我が家の最重度知的障害のある息子の、現在使っている福祉サービス、在宅での過ごし方、また、その他にも我が家のある地域での、特別支援学校、放課後等デイサービスなどの対応について書いておこうと思います。
生活介護の対応
息子には重い知的障害があるので、通所している福祉の事業所で、生活介護と日中一時というサービスを受けています。
日中一時とは
障害者等の日中における活動の場を確保し、障害者等の家族の就労支援及び障害者等を日常的に介護している家族の一時的な休息を目的とする。
引用元全国地域生活支援機構
https://jlsa-net.jp/ti/1shien/#i1
通所利用している生活介護の事業所は、緊急事態宣言を受けて、利用者全員が通所したい希望日を提出することで日数のコントロールを行う対応をされています。
また、通常利用からすると1時間ほど利用時間が短縮されています。
我が家の息子は週に3日で希望を出しました。もしかしたら多い方かもしれません。
在宅が続くと今までの生活パターンが崩れてしまい、それによって問題行動が頻発することも予想されます。
そこで、事業所も週3日で対応を受け入れてくださり、今のところ断られたことはありません。
むしろ、家族が大変になるといけないから、何かがあったら在宅日でも相談して欲しいと言ってもらっています。
この一言で、親としてもずいぶん救われている気がします。
しばらくして、息子は週3日が通所パターンだと理解してくれたようです。自分でカレンダーや事業所から渡された個人スケジュール表で通所日を確認しながら、一日一日を過ごせています。
行動援護の対応
行動援護とは
行動に著しい困難を有する知的障害や精神障害のある方が、行動する際に生じ得る危険を回避するために必要な援護、外出時における移動中の介護、排せつ、食事等の介護のほか、行動する際に必要な援助を行います。
障害の特性を理解した専門のヘルパーがこれらのサービスを行い、知的障害や精神障害のある方の社会参加と地域生活を支援します。
引用元WAMNET
https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/syogai/handbook/service/c078-p02-02-Shogai-04.html
行動援護は毎月2回程度、1回の利用時間は3〜5時間ほど利用しています。
緊急事態宣言が出る前までは、大好きなカラオケに行って音楽を聞くことが定番でした。
また、大型商業施設で好きな食べ物を買って、そこで食べて帰るというパターンもありました。
しかしこの2つは、新型コロナウイルスに感染しやすい3密(密閉・密集・密接)につながるため、できなくなってしまいました。
ただ、幸い息子は散歩が大好きで、どんなに長い時間でも平気で歩きます。
それなら本人の気分転換にもなり、場所を選んで歩けば3密も防げるので、今は散歩がメインになっています。
コンビニなどでお弁当を買って、外で食べるにも良い季節になったので、本人は喜んで過ごせているようです。
ヘルパーさんとの外出は、3密を防いでの活動なら普通に利用できます。
ただ、利用する人によっては、カラオケや商業施設など、必ずこだわりとして立ち寄らなければならない方もいて、ヘルパーとしてはその方達にはサービス提供ができなくてお断りするしかない、と苦しい胸の内を話されていました。
家での過ごし方
外出が大好きな息子は、家の中にずっといることはかなりのストレスのようで、1日のうちに何度も外出要求をしてきます。
それに対して、現在父親が在宅で仕事をしているので、父親がドライブで対応しています。
ドライブ中に、車中でパニックによる他害やこだわりによる破壊が出てしまうと、対応は私ではもう無理になってしまったので、今は運転は必ず父親がやることになっています。
本人は在宅日はドライブを楽しみにするようになったので、ドライブに行く条件として、家事の作業をしてもらうことにしました。
ドライブのために頑張ってくれるので、それで暇な時間を少しなくすことにもなっています。
また、食べるためには食材の買い出しにも行きますが、人の少ない時間帯を選んで一緒に行きます。
次亜塩素酸を、小さなスプレーボトルに入れて持ち歩くことも習慣化しました。
とても嫌がるマスクの装着については、少しずつ練習中です。
強い拒否が出ていたのですが、今はとりあえず付けるところまでしてくれるようになり、それから数メートルまでなら、つけたままで歩けるようになりました。
家の中にいるときは、家事の手伝いの他にはなかなか活動が見つからないのが困りものです。
また、親たちの仕事が捗らないことも、正直きついところでもあります。
現在の学校、放課後等デイサービスなどについて
地元にある特別支援学校や支援級は、全ての学校と同じように休校となっています。
その受け皿となっているのが放課後等デイサービスです。
放課後等デイサービスは、学校が休みの時は朝から子供達を預かるので、今回のことでも子供達は朝から来所しています。
結局、子供達は学校ではない場所に朝から通うということになってしまうので、学校に通っている状態と同じではないかという意見もかなりありました。
むしろ、放課後等デイサービスの狭い空間に子供達が集団で過ごすよりも、学校の広い教室や敷地内で、パーソナルスペースを保って活動する方が余程良いのではないかということも言われていました。
もちろん、放課後等デイサービスも3密を避け、感染防止には努めているはずです。
けれど、まだ終息が見えてこない状態に、それまで仕事を休めなかった大人たちが在宅するようになったことで、放課後等デイサービスを利用する子供達も随分と減っている状況にあります。
障害児、者に対する議論はどうなっているのか
このところ、学校に通えないことで学力の格差について懸念されていることが、大きく取り上げられるようになりました。
学校に行けない間の、子供達のケアや対応について議論されている反面、特別支援学校や支援級に通う子どもたちに対しては、その対応についてほとんど見えてこないのが正直なところです。
生活パターンが崩れてしまったことで、混乱してしまっている障害児、者に対して家族が対応するしかない現状があります。
パニックや問題行動が増えて、家庭崩壊を起こしかねないという話も聞こえてきています。
そんな困っている人たちや家族を支えるためのシステムも、今後は作っていく必要があるでしょう。
この新型コロナウイルスで浮き彫りにされた様々な問題を、今後はどう教訓にして、この先にどうつなげていくのか、教育も福祉も試されていくことになるのかもしれません。
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