先日、市内の行政区と地元大学の連携事業の依頼で、お話をさせていただく機会をいただきました。
その時感じたことを、私自身が忘れないためにも報告という形でここに残しておきたいと思います。

今回の内容について「強度行動障害を持つ家族がいる家庭について話をさせていただきたい」とお願いしたところ、快く受けてくださいました。

会場での参加は募集要項から申し込みをされた地域の一般の方、動画視聴については連携大学の授業で学生300人ほどとのことでした。
私自身それまでは支援者に向けての話が多かったのですが、今回は同じとはいかず再考する必要がありました。

しかも、やっと国もその支援に動き出した分野の障害とはいえ、強度行動障害などと一般ではまず耳に入らないような言葉なわけです。
聴く側にしてみれば、その重い障害を持った人たちの、見えない家庭の中というニッチな内容に、どのくらい関心を示してもらえるのか皆目わからないというのが正直なところでした。

これは、参加者を募る広報にも苦労をかけてしまいそうだと申し訳なく思いつつも、それでもたとえ参加者が数人であっても、どうしてもこの内容で伝えたいと想いを持ってお願いをしました。

ところが、蓋を開けてみれば当日は50人ほど収容の会場はほとんど埋まっていました。
広報の方達の努力なしでは集まらなかったでしょうが、少しでも関心を持ってくれている人たちがいるんだと、ちょっと、いやかなり感動しました。


そして、この場にいるすべての皆さんに感謝し、気合を入れ直して、以下の内容でお話ししました。

頂いた時間は1時間半。なんとか時間内に収めてお話しできました。
ご依頼いただいてから講演当日までの間に、母が亡くなったり、供養に時間を取られたりでバタバタではありましたが、合間合間に話したい内容を少しずつパソコンに書き溜めていたら、とんでもなく膨れ上がってしまって、そこから内容を削るのに苦労しました。

正直伝えたいことは山ほど。でも、一気に伝えたところでむしろ伝わらないし、とにかく見えない家族の頑張りと知られることのない想い、外に出して言えない声なき声をどうすれば伝えられるか、それに集中しました。

私は以前、勉強会を立ち上げて多くの参加者と交流をして来ました。そこはお父さんやお母さんの想いを吐き出す場所にもなっていて、その言葉は周りには知られていない、喜びや、悲しみ、苦しみなど、そのひとつひとつが魂の声でした。
私はその声を聞いてきたからこそ、伝えていかなければと思っています。

そしてその声は、今頑張っている若いお父さんやお母さん達にも、自分だけではなかったと、希望にも繋がっていくのだと思っています。

実際に、講演の後には何人かの方が私に声をかけてくださり、その中にはまさに今、強度行動障害のお子さんを育てていらっしゃるお母さんがいました。
「今日の講演を楽しみにしていました」と言ってくださったお母さんは、まさか強度行動障害の話を聞けるなんて思ってもいなかったと話されました。

今回の講演では、地域の人たちにまず知ってもらうこと、そして地域で何ができるのか考えるきっかけにしてもらうことが一番の目的でした。
地域でできることはたくさんあります。少しでも今回のことで関心を持ってもらえたらと願います。

これからも、このサイトではご家族の声なき声を拾い上げ、お伝えしていきたいと思います。